S3実践の留意点 2016
TC3では以下の6項目をS3審判員が実践する際の重点課題として掲げます。主審及び副審として任務にあたるに際し、以下の項目を各審判員の目指すべき課題として認識したうえで、試合に臨んで下さい。
また、アセスメント等が実施される場合は、アセッサーやインストラクターにとってはS3審判員を指導しレフェリングの評価をする上で、具体的な指標となります。
0. 正しい動きとポジショニング
1. 判定の正確性
2. 適切な懲戒罰
3. 積極的で的確なアドヴァンテージ
4. 適切なコミュニケーション
5. 副審としての適切な動きと判定
0. 正しい動きとポジショニング
レフェリングの前提条件として、対角線(S字)審判法の機能を理解し、運動量とスピードを確保しながら、プレイに対して良いポジションを取る。
その時監視すべきプレイと、その次に最も起きそうなプレイを予測し、それらを監視しコントロールするために最適なポジションを考えて取る。
➢ 「プレイ(ボール)・攻撃方向の副審・次のプレイエリア」を出来るだけ同時に視野に入れたポジション
➢ プレイに対し良い角度で、充分近い距離のポジション
➢ 最終的にPA内の重要な場面を最も効果的に監視出来るポジション
➢ アウトオブプレイ時に次の展開を充分予測したポジション
1. 判定の正確性
どちらの競技者がボールをプレイするのに有利なポジションにいるのか、お互いにフェアな方法・タイミングで(ボールに)チャレンジしているか、ボールがその競技者のコントロール下にある、なしに関わらず、相手競技者に不当に干渉する行為に注意する。特に、守備側競技者が犯す不自然または不必要な腕、手の使い方を見極める(攻撃側競技者が犯すこともある)。一方、コンタクトスポーツであることをよく理解し、ある程度の力を用いても相手競技者に対し、必要な注意を払いながら正当に行った、或いはその結果偶発的に起きた接触に対しては、競技のうちであることを認める。
➢ 相手競技者に遅れていくタックル、チャージ、ジャンプアット
➢ ボールをプレイする意図がないのに、不当に相手競技者に干渉する行為(相手の動きを妨げるホールド、プレイを阻害するプッシュ、チャージ、ジャンプアット)
➢ 必要以上の力で競り合い、または相手競技者に接触する(相手競技者に配慮を欠いたアンフェアなチャレンジ)
2. 適切な懲戒罰
予防措置をとることを第一としつつ、試合をコントロールするために必要な懲戒罰を与えることを躊躇しない。
懲戒罰を与える理由を競技規則にしっかり照らし合わせ、正当な理由のもと罰則を与えること。
➢ ファウルを犯す時の力の強さ
➢ 競技者の意図
➢ ファウルを犯した時の状況
3. 積極的で的確なアドヴァンテージ
ファウルを受けたチームの状況をよく見極め、積極的にアドヴァンテージを採用する。但し、コントロール上不可欠な注意や懲戒罰が必要な場合は、そのバランスを考慮しプレイを停止するか、アドヴァンテージを採用する場合でも、必ず次のアウトオブプレイで対応を取ること。
➢ 攻撃側競技者(チーム)の流れと勢い
➢ 確実にボールをコントロールしている状況またはそうなる可能性(ロールバックの用意)
➢ 反則を犯した競技者への対応
4. 適切なコミュニケーション
上記1~3をレフェリングの基本とし、レフェリー、アシスタントレフェリーは笛、カード、シグナル、ジェスチャーや言葉をシンプル且つ有効に使い試合をコントロールする。ゲームコントロールをより適切且つ円滑に行うために更なるコミュニケーションが必要な場合は、確実に意図が伝わるよう時間をかけることを躊躇しない。
➢ プレイを確実に停止し、主審に注意を向けさせる
➢ コミュニケーションを取る相手を明確に(誰に対して、必要であれば隔離して、face-to-faceで)
➢ 何を伝えるのか具体的で正しい用語・言葉を用いて
5.副審としての適切な動きと判定
プレイ、或いは後方から2人目の守備側競技者の位置のいずれかに集中してしまうことなく、適切な監視のバランスを保ちながら、常に正しい位置取りを心掛ける。それによりファウルの監視や正しいオフサイドの判定に繋げる。
主審と同じ感覚でプレイを監視し、必要な時は反則に関して主審を適切にサポ-ト出来るように準備する。
➢ サイドステップを多用し、ラインの上下に瞬時に対応できる動き
➢ フィールドに正対し、プレイ、後方から2人目の守備側競技者、及び主審を入れた広い視野
➢ 主審から見えにくいファウル(ハンドリング、ホールディング、プッシング、タックルの勢いやスタッドの向け具合)
➢ Wait & See の意識(ファウルが起きた際のアドヴァンテージの適用や主審の反応の見極め、オフサイドポジションの競技者が明らかにアクティブプレイ関わるかどうか)
試合後は担当した主審・副審で共に試合を振り返り、良かった点、課題として改善すべき点を建設的に話し合って下さい。また、アセスメントが実施された場合、試合後の振り返りが最も重要であることに変わりはありませんが、レポートに記された内容は、試合後の振り返りを補完し、また再確認するものとして大変有効です。それらの内容をよく読んで理解し、自分自身のフィードバックに生かして下さい。