広報委員会TOP KANAGAWA Soccer News 観戦ノート


第23号(平成14年8月20日)

■JAWOCに携わって
神奈川県サッカー協会副理事長 野地芳生

 W杯招致が決まって最初に思ったことは「どれだけの人が遠い国日本へ来てくれるのだろう」ということだった。日本を初めて訪れる人が多くいてくれることを楽しみにしていたのである。そうなれば外国へ行く機会が少ない日本人にとって、文化を肌で感じることが出来るからである。しかし移動距離の長さや物価の高さから多くの人は来日することを敬遠したようであるが、W杯に関わる人々が全世界から来日したことで、子供からお年寄りに至るまで、国際人への入口である異文化を肌で感じることが出来たのではないだろうか。今まで肌の色や体の大きさで判断していた人達が、その壁を取り払い積極的に交流出来たことは大きな財産になったことだろう。
 FIFAから試合運営は、とても順調に進んだと労いの言葉をもらったが、勤勉な日本人にとっては造作無いことだったと思っている。しかしながら、フィールドや選手更衣室に入る資格を持たない人が強行突破してしまう等、大会規則を遵守出来ない日本人がいた。その姿を見て「この人達が外国へ行った時はどうするのだろう・・でも、外国だったらおとなしくルールは守るのだろうな」と勝手に納得したのである。JFAやJリーグの試合において、国際基準の運営が今後実施できるかは、日本のサッカー界に私達自身の意識改革をどう伝えていけるかにかかっている事は言うまでもないことである。
 優勝したブラジルは世界一に相応しい姿を見せてくれた。大会を通じて練習を公開したこと、準決勝後の疲れを取るために出かけたスポーツクラブでは、会員に対しても気さくにサインに応じ、その姿にサッカーを知らない人達まで選手と触れ合うことでブラジルファンになっていた。ブラジルが世界一の人気を誇っているのは、選手やスタッフ達のファンやメディアを大事にする振る舞いから生まれていることを改めて痛感させられた。日本の選手というより、サッカー界の大人達の考え方が変わることが必要である。若い選手にファンを大切にすることを伝えてきたJリーグのチームは数少ない。近々横浜にワールドカップミュージアムが造られる予定である。そこにはブラジル選手が残したサインが多く飾られ、訪れた人々の目に留まることだろう。